理事長ご挨拶

人類共通の最大の脅威である地球温暖化は、幾多の努力にもかかわらず、悪化を続けています。世界の平均気温は上昇を続け、昨年一年間の平均気温はパリ協定の目標である1.5℃をついに超えてしまいました。

日本も4年前に、世界の主要国と協調して2050年脱炭素に舵を切りました。脱炭素の実現には、社会経済の大変革が求められます。エネルギーの非化石化やエネルギー効率の向上は必須ですが、資源循環を加速し循環経済へ移行することもエネルギー対策と同等に重要です。JWセンターは、資源循環の加速を通じて脱炭素の実現に取り組んでいます。

資源循環を進めるには、再生資源の需要の喚起、良質な再生資源の供給の増加、さらに需要側と供給側をつなぐ情報が必須です。需要の喚起の面では、企業の地球温暖化への取組情報の開示や、製品の原料に再生資源の使用を義務付ける動きが進んでいます。良質な再生資源の供給の確保では、昨年5月に成立した再資源化事業等高度化法に期待が集まっています。再生資源の供給側と需要側を結ぶ情報については、電子マニフェストの登録項目に再資源化情報等の処分情報が追加されることとなり、電子マニフェストが静脈資源情報プラットフォームとして新たな役割を果たすことが期待されています。

電子マニフェスト事業は、順調に拡大しています。昨年度1年間で4,300万件以上のマニフェストが登録され、膨大なデータが蓄積されています。JWセンターは、これらのビッグデータの「見える化」をいっそう進め、産業廃棄物の適正処理と資源としての循環に貢献したいと考えています。

講習会事業でも、資源循環の加速が喫緊の課題であることから、テキストの資源循環に関する記述を充実させ、今年度の講習会からご利用いただけるようしました。また、受講者の希望を踏まえ、オンライン形式を中心としつつ、2割は対面形式で実施します。

資源循環の加速に資するため、国内外でバイオマス廃棄物、建設廃棄物、希少金属等の再資源化の実態把握を中心に調査を進めています。また、中断していた韓国、台湾、日本の3国間ネットワーク会議を昨年秋に6年ぶりに東京で開催するなど、国際協力にも引き続き取り組みます。

JWセンターは、皆様のご支援により、順調に活動を発展させています。これからも、変化する社会や時代の要請に応えられるよう、事業を充実させてまいります。

2025年4月
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
理事長 関 荘一郎

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